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広島の原爆投下後に降った“黒い雨”をめぐり、健康被害を訴える住民全員を“被爆者”として認め、広島市と広島県に被爆者手帳を交付するよう命じた一審判決について、市と県は12日、控訴しました。市と県は、控訴を望んでいませんでしたが、国からの強い要請を受け、控訴せざるを得なかったといいます。国は“参加行政庁”として、上訴する権限を持っていて、訴訟にも補助的な立場で参加していたからです。加藤厚生労働大臣は一審判決について「これまでの累次の最高裁判決と異なり、『十分な科学的な知見に基づいた』とはいえない判決内容となっているとの結論に至った」としました。 ただ、市と県は国との協議のなかで、ある条件を引き出していました。安倍総理は、「広島県、広島市の要望も踏まえて、厚労省において“黒い雨”地域の拡大も視野に入れ、検証することとした。引き続き、被爆という筆舌に尽くしがたい経験をされた皆さまに対する支援策にしっかりと取り組む」と強調しました。しかし、検証は、いつから始まるのか、その具体的な内容もまだ決まっていません。 原告は高齢で、84人のうち、12人が亡くなっています。“黒い雨”訴訟の原告団・高野正明団長(82)は「命には限界がある。先を延ばすということは、それだけの死者がこれから出る。それを望んでいるような、科学的・合理的根拠という文字だけで誤魔化している。この難癖には憤りを感じている」と批判。“黒い雨”訴訟の原告団・竹森雅泰弁護士も「国と厚労省は、科学的知見を口実に、控訴する不当な政治決断を行った。“黒い雨”被爆者の苦難に満ちた人生と、援護区域拡大を切望しつつ、無念のうちに亡くなった多くの“黒い雨”被爆者の思いを踏みにじるものであり、ここに抗議する」と述べました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース