原爆の犠牲になった米兵 広島で慰霊続ける被爆者「敵ではなく人間」

有料記事

編集委員・副島英樹

現場へ! 原爆被害に国境はない①

 穏やかな春の日差しに包まれた3月18日午後、米国のジョージア工科大の大学院生ら11人が広島市内を巡った。両杖をつきながら案内したのは、歴史研究家で被爆者の森重昭(86)=同市西区。2016年5月27日、現職の米大統領として初めて広島を訪れたオバマに抱き寄せられた姿が、世界に配信された。

 会社員だった森は手弁当で50年近くかけ、1945年8月6日に米軍が広島に投下した原爆で米兵捕虜12人が犠牲になったことを調べ上げ、遺族に知らせて慰霊してきた。約40万人が被爆し、45年中に約14万人が死亡した中に自国兵器の犠牲者がいることは、米政府自体が長年、公式には認めてこなかった。

 「ここで殺された米国人たちの家族を捜し出した男性がいました。なぜなら、彼は彼らの喪失は自分たちの喪失と等しいと信じていたからです」

 主要7カ国首脳会議(G7サミット)が被爆地・広島で開かれます。あの原爆投下によって亡くなった人たちのなかに米兵捕虜がいました。その最期をたどり、遺族に知らせ、慰霊してきた被爆者がいます。「敵ではなく人間」という考えで平和を訴える営みを副島英樹編集委員が伝えます。

 平和記念公園での演説でオバ…

この記事は有料記事です。残り949文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment