長崎原爆で犠牲になった人たちの名簿を外気に当てる「風通し」が17日、長崎市の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館であった。梅雨入りを前に、市職員らが湿気を取り除き、傷みがないか確認した。
原爆死没者名簿には、亡くなった被爆者らの名前と享年、死亡年月日が載っている。昨年8月9日、その年の7月末までの1年間で亡くなった3167人が加わり計19万2399人。名簿は計197冊となった。2018年からは、国が定める被爆地域の外にいたため被爆者健康手帳の交付が認められていない「被爆体験者」も記されている。
この日作業した市職員10人は、原爆投下時刻の午前11時2分に黙禱(もくとう)。1枚ずつページをめくって風に当てた。中には、名前が分からない犠牲者のために白紙のものもある。
参加した中田晃さん(32)は「名簿にある以上に多くの方が無念の中で亡くなっていることを実感した。一人ひとりの名前が風に当たるように丁寧に見た」と話した。自身も被爆者の祖母を持つ被爆3世という。偶然めくったページに祖母の名前を見つけたといい、「毎年お参りしているが、ここでもおばあちゃんに会えるんだなと感慨深かった」と話した。
もう一つの被爆地広島でも、原爆死没者名簿の風通しが24日に行われる。(寺島笑花)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル