原爆症、終わらぬ認定訴訟 敗訴続いても却下続ける国

 原爆の放射線により、がんなどを発症する「原爆症」。その認定をめぐり、国と被爆者側が訴訟の場で争う必要がないよう解決をはかる「8・6合意」を結んでから6日で10年となった。だが今も裁判は続き、国の敗訴が続く異例の事態となっている。解決の糸口はどこにあるのか――。

 原爆ドーム(広島市中区)そばのホテル。6日の平和記念式典の後、被爆者代表が安倍晋三首相らに要望を伝える会で、広島県に二つある県原爆被害者団体協議会(被団協)が認定制度を改めようとしない政府を、こうただした。

 「多くの裁判所で、現在の審査方針が被爆の実態に合わないことが繰り返し指摘されています。制度の改善を強く要望します」

 佐久間邦彦理事長(74)の求めに、根本匠(たくみ)厚生労働相は「被爆者に寄り添いながら原爆症認定の制度を運営して参ります」と回答。一方、宮崎雅則・健康局長は「さらに広げて基準を設けることは困難と考えています」と述べた。

 かつての原爆症の認定率は全被爆者の1%足らず。被爆者はこれを不服として集団訴訟を起こし、9割超が勝訴した。こうした状況の中、麻生太郎首相(当時)は被爆者の高齢化や訴訟の長期化を踏まえ、「早期に救済する新たな方針を決断した」と表明。ちょうど10年前、同じホテルで日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の坪井直(すなお)代表委員(94)らと握手を交わした。これが「8・6合意」だった。

 その内容はこうだ。一審で勝訴…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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