入り口正面の商品棚にうずたかく積まれたカップ麺はおよそ80種類。レトルト食品やお弁当、飲み物なども豊富に並ぶ。店は早朝から、仕事に向かう廃炉や復興工事の作業員でにぎわう。この春、一人の女性が海辺の故郷に戻ったのは、この店がきっかけだった。
東京電力福島第一原発から北に約8キロ。福島県浪江町の中心部に今年7月、町内で唯一のスーパー「イオン浪江店」がオープンした。石澤敏子さん(52)は、この店の奥にある薬販売コーナーで働いている。
2011年3月。原発事故による避難指示で、石澤さん一家5人は浪江町から200キロ以上離れた埼玉県春日部市の団地に避難した。知り合いもなく、仕事もすぐには見つからず、手探りの生活が続いた。
15年に夫の修英(しゅうえい)さん(56)が市内でバーを開いた。石澤さんも薬の登録販売者として薬店で働き始め、暮らしはようやく落ち着きを取り戻した。
ただ、心の中では、3歳から暮…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル