日本原子力発電(原電)の東海第二原発が立地する東海村の山田修村長が雑誌の対談で、「(原発を)しっかりと再稼働していく必要がある」などと発言し、東海第二原発の再稼働を容認しているのではないかとの批判が上がっている。15日、村議4人に認識を問われた山田村長は「東海第二を意識したものではない」と釈明した。
村長の発言は、東京電力柏崎刈羽原発がある新潟県刈羽村の品田宏夫村長と対談した時のもので、原子力専門の季刊誌「エナジー・フォー・ザ・フューチャー」(ナショナルピーアール社)に掲載された。
テーマは「BWR(沸騰水型炉)の再稼働」で、BWRは東海第二や柏崎刈羽、東京電力福島第一などで採用されている。
記事の中で山田村長は「BWRについても、しっかり再稼働していく必要がある」とし、2011年の福島第一原発事故については「論理的に考えれば、(住民は)同じような事故はまず起こらないと思うはず」。原発が不要という人には「全ての外部電源を遮断して、自家発電だけで生活してもらわなくては。自宅から一歩も出てはいけない」とも語った。
村議に「東海第二ではない」
東海第二の再稼働にあたって原電は、東海村を含む地元6市村と「事前協議で実質的に事前了解を得る」とする協定を結んでいる。15日には再稼働に反対する村議4人が山田村長と面会し、「再稼働すると決めているのではないか」と発言の趣旨を尋ねた。
山田村長は「再稼働を待っている原発立地自治体の首長が多いので、そう発言した。東海第二原発を意識したものではない」と釈明。「自宅から出るな」との発言は「かなりいきすぎた表現だった」と反省を口にした。発言全体についても「今まで思っていたことを同じように伝えたつもり。ただ、全体的に表現が過激だったり、稚拙だったりしたことは否めない」と説明した。
東海第二の再稼働には「最終的には住民の意見が一番。今の段階で再稼働を容認することはない」と答えた。
山田村長は脱原発を掲げた村上達也・前村長の「後継」として13年に村長に就任。村長選では原発容認派からの支持も受けるなど、東海第二原発の再稼働についてはこれまで中立の立場をとってきた。
村上氏は朝日新聞の取材に対し、「山田村長の発言は不用意で軽率だ。もっと村民や周辺市町の住民のことを考えて発言した方がいい」と話した。大井川和彦知事は12日の会見で「記事を拝見したが、BWRに対する一般論の話と感じた。必ずしも直接東海第二原発の話ということにはならないのではないか」と述べた。
村議4人は今後、12月の村議会で山田村長に発言の趣旨を説明する場を設けるよう、議長に申し入れるとしている。(益田暢子)
■雑誌での山田修・東海村長の主…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル