エネルギー基本計画の改定原案が21日、公表された。原発の新増設、建て替え(リプレース)は盛り込まれなかった。運転開始から40年を超える老朽原発の再稼働に協力した地元関係者はリプレースを望んでおり、「はしごを外された」と国への恨み節も漏れた。
40年超運転に同意したのに
「新増設、リプレース(建て替え)のことは明確にすべきだと申し上げたが、書かれてない。確認はこれからしていこうと思う」。福井県の杉本達治知事は原案について、21日の記者会見でこう述べた。
福井では6月、運転開始から40年を超える老朽原発の美浜3号機(美浜町)が再稼働した。東京電力福島第一原発事故後、原発の運転を原則40年としたルールのもとで初めてだった。
再稼働に同意する前日、杉本知事は梶山弘志経済産業相と面談。梶山氏は基本計画にも触れ、「新増設、リプレース含め議論している。原子力政策の将来像や、その道筋のさらなる明確化に向けて覚悟を持って取り組む」と伝えた。
同意当日、杉本知事は「意気込みを示していただいた」と発言。「志という意味で、国が原発をどうしていくのか明言していただくこと」を重視したと話していた。
原発以外の産業に乏しい立地地域を抱える福井県の関係者らは今回、新増設やリプレースが明記され、原発の積極的な活用が促されるとの期待を抱いていた。
7月上旬に新増設の記載見送りの方針が報じられた直後に杉本知事は上京。梶山氏に「力強い言葉を頂いて同意させていただいた。後退はあってはいけない」と伝えてもいた。
21日の会見で「かなりお約束いただいた内容が取り込まれている」と原案を評価した杉本知事。だが結局、新増設などの文言はなかった。
ある県議は「はしごを外された。40年超の原発再稼働の際の知事の判断について、正当性まで疑義が生じる事態だ」と憤った。
美浜町の山口治太郎前町長(…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル