原発安全対策費、5兆円超に 政府の「最安」評価揺らぐ

 東京電力福島第一原発事故後の原発の安全対策費が、電力11社の合計で5兆円を超えることが朝日新聞の調べでわかった。建設が遅れているテロ対策施設の費用は、当初の想定の2~5倍に膨らんでいる。まだ織り込めていない原発も多く、安全対策費が今後さらに増えるのは確実だ。電源別で原発の発電コストを「最安」とした政府の評価の前提が揺らぎつつある。

 朝日新聞は2013年から、新規制基準で義務づけられた地震や津波、火災、過酷事故などの対策にかかる費用の最新の見積額を電力各社に尋ね、集計してきた。建設中を含めて原発をもつ11社の今年7月時点の総額は、少なくとも5兆744億円となり、1年前より約6600億円増えた。

 東電は、柏崎刈羽6、7号機(新潟県)の液状化対策やテロ対策施設の建設費などが増大し、9690億円に倍増した。関西電力も大飯3、4号機(福井県)のテロ対策施設の建設費として1308億円を追加した。3原発7基の再稼働をめざす関電の安全対策費の総額は1兆円を超えた。東北電力は、昨年まで二つの原発の総額を3千数百億円としていたが、今回は女川(宮城県)だけで3400億円とし、東通(青森県)の費用は評価できないとして額を示さなくなった。

 今回新たに、テロ対策施設の審…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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