東京電力福島第一原発事故による損害賠償の指針を決める国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審、内田貴会長)が10日開かれ、原賠審の専門委員はいまの賠償指針に示されていない損害も賠償の対象に含めるよう求める報告書を示す。原賠審は、金額を含めた指針の見直しに向け、9年ぶりに具体的な議論に入る。
原発事故の賠償問題では、7件の集団訴訟の賠償額が今年3月に確定した。そのほとんどが、国の指針を上回る慰謝料の支払いを東電に命じた。このため原賠審は法律の専門家5人を専門委員に選び、判決内容から指針に盛り込める損害がないか検討を求めた。
専門委員が集団訴訟の判決などを調べ、最終報告をまとめた。国の指針にはない精神的な損害として、①過酷避難状況による損害②故郷喪失・変容による損害③自主避難等による損害④放射線量が相当程度高い地域に一定期間滞在したことによる健康不安に基づく損害――の四つを挙げた。最終報告はこれらを「指針に取り込む努力・工夫が求められる」とした。
②の故郷・喪失による損害は…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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