選挙の候補者をできるだけ男女均等にすることを各政党・団体に努力義務として課した「政治分野の男女共同参画推進法」成立後、初めての国政選挙となった今回の参院選で、候補者に女性が占める割合は過去最高の28・1%となった。ただ、主要7政党のうち「ほぼ均等」となったのは共産、立憲民主両党にとどまった。女性の割合が特に低かった自民、公明両党は同法成立前の前回参院選よりも減らした。
4日に公示された参院選の女性候補者の割合を主要7党でみると、最も高かったのは社民党の71・4%だった。以下、共産55・0%、立民45・2%、国民民主党35・7%、日本維新の会31・8%と続いた。自民は14・6%、公明は8・3%だった。
同法の成立前だった前回の平成28年参院選と比較すると、社民は53・3ポイント増、共産は19・3ポイント増、前回は「おおさか維新の会」だった維新が17・6ポイント増だった。立民は前身の民進党(前回20・0%)と比較すると25・2ポイント増、同じく国民は15・7ポイント増で、野党は軒並み割合を増やした。
候補予定者段階だった2カ月前の5月4日時点での女性の割合が共産38・6%、国民25・0%、維新0%などだったことと比較すると、本番に向け野党各党が女性候補者擁立に必死に動いた様子がうかがえる。
対照的なのが与党で、自民は前回比1・8ポイント減、公明は同4・2ポイント減だった。2カ月前との比較では自民が0・8ポイントの微増だったが、公明は7・1ポイントも減らした。参院会派別の女性議員の割合は自民15・7%、公明20・0%で、今回の女性候補者の割合が現状と比較して減ったのは両党のみだった。
同法は国会、地方議会ともに女性議員の割合が少ないことから、女性議員を増やすために昨年5月に全会一致で成立、施行された。参院の場合、女性議員の割合は21・0%(欠員5をのぞく)にとどまっている。
同法は候補者数を「できる限り」男女均等にするよう「目指す」内容で、政党は男女の候補者数の目標設定などに「自主的に取り組むよう努める」と規定。ただ、あくまで努力を促しているだけで、男女均等が実現できなかった場合でも罰則はない。
そもそも立民の参院選の女性候補者擁立目標は40%、国民は30%で「男女均等」に届かず、50%としたのは共産のみ。自公は目標設定すら行わなかった。法律を作った当事者である多くの政党が法律の趣旨を守らない異常な事態となった。(酒井充)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース