--参院選の結果を受けて、今後どのように憲法改正論議を前進させる考えか。来年までに改正憲法を施行する目標に変更はないか。主要野党は「安倍改憲に反対」との立場を鮮明にしている。改憲に前向きな日本維新の会に加え、国民民主党との連携についてどう考えるか
「憲法については、今回の選挙戦、ほとんどの街頭演説において、今回の選挙で問われているのは、憲法を未来に向かってしっかりと議論していく政党・候補者を選ぶのか、国会議員としての職責を果たそうとする候補者を選ぶのか、それとも議論すらしない、職責を果たさない候補者を選ぶのか、それを決める選挙と訴え、今回、前回の議席を上回る議席をいただき、改選過半数を大きく上回る票を得て、私たちは勝利を収めたわけであります。憲法改正については、少なくとも議論すべきという国民の審判は下ったと思います。野党の皆さんにはこれまで以上に憲法審査会の開催と憲法改正原案に向けた議論を呼びかけたいと思います」
「2020年という目標については、議論に一石を投じる思いで申し上げたところでございます。今もその思いには変わりはございません。ただし、スケジュールありきではなく、まずは憲法審査会において、この選挙の結果を受けて、各党派がしっかりと議論をしていただきたいと思います。選挙というのは、まさに与党と野党のどちらが過半数を取るのかという選挙であります。と同時にですね、安倍政権を支える連立与党の今までの仕事に対する中間評価だったんだろうと思いますが、その評価を得ることができたと思っています。安定した政治基盤の上にしっかりと政策を前に進めていきたいという審判を得た」
「そこで、3分の2については、いわゆる改憲勢力とか決まったわけではないですから。また、例えば立憲民主党の枝野幸男代表もですね『安倍政権の下での改憲議論はしないと言ったことはない』ということ。党首討論で私初めて聞いたんですけど、という風におっしゃっていましたんで、考え方を変えられたのかもしれませんが、これはまぁ、現場で確かめていただきたいと思いますが、新たに登場した政党などもありますし、受かった無所属議員もいますし、また、国民民主党の方々の中には、憲法改正について議論すべきだと考えている方がたくさんいらっしゃると私は思ってますので、そうした皆さんとも積極的な議論を展開をしていくべきなんだろうと思います。ぜひ、国会議員の皆さま方がそれぞれの自覚のもとに、与野党の枠にとらわれることなく、幅広い議論をしていただきたい。それを第一党として呼びかけていくべきではないのかなと。3分の2の形成に向けて努力をしなくてはいけないと考えております」
--内閣改造と役員人事と臨時国会について。麻生太郎副総理兼財務相や菅義偉官房長官は、今回の人事でも骨格を維持するのか。参院選の結果を受けて二階俊博幹事長を続投させるのか。臨時国会は、参院議長などの選出を行う臨時国会に加え、秋の臨時国会が想定されるが、それぞれいつごろ召集するのか
「大変、詳細な具体的なご質問をいただいたところでありますが、まず臨時国会については、今回の選挙では、伊達忠一参院議長が引退をされ、新しい参院議員の任期が始まってすぐの8月1日に召集したいと思います。その先の国会召集については、今後の政治日程や政治課題の状況などを踏まえ、今後検討していく考えであります」
「役員人事、内閣改造についてですが、それぞれ今、名前を挙げていただいた方々、例えば麻生副総理にしろ、菅官房長官にしろ、内閣の重要な柱として支えていただいていたと思っておりますし、今ここにおられる二階幹事長のリーダーシップのもと、甘利明選対委員長とともに、この選挙、勝ち抜いていただいた。それぞれの皆さまの仕事ぶりに本当に私は感謝しております。自民党というのは、与えられた職責に全身全霊を打ち込んで結果を出していくのが伝統であり、その伝統の中において、しっかりとその役割をそれぞれの皆さんが果たしていただいたと感謝しています。人事においては、まだ全く、これ(参院選が)終わったばかりでありまして、全くの白紙でございまして、これからゆっくりと考えていきたいと考えています。そしてタイミングについてはですね、8月後半にはアフリカ開発会議(TICAD)や先進7カ国(G7)サミットがあり、9月も外交日程が立て込んでいくわけでありますが、そういう中でよく考えていきたいと思います」
--首相の自民党総裁任期まであと2年余り。現在の3期目の総裁任期を最後とする考えに変わりはないか。残りの任期で憲法改正以外にどのような課題を政権のテーマとして据えるのか。日露平和条約交渉や、日本人拉致問題を解決しての日朝国交正常化、日韓関係についてどのように前進させるか。任期中に衆院解散・総選挙に踏み切る考えはあるのか、東京五輪よりも前のタイミングの可能性は排除しないのか
「すでに党則によって3選までと決まっておりまして、4選ということは全く考えておりません。あと2年余りでございますが、最大の課題である少子高齢化に真正面から立ち向かって、安心できる社会保障のためにもデフレから脱却をし、強い経済を作り上げていく。そしてまた国益を守るために、力強い外交、安全保障政策を展開をしていきたいと思います」
「拉致問題についてなんですが、私は首相に就任をしているが、議員生活25年以上の中でこの問題に取り組んできました。いまなお、解決できていないということは痛恨の極みであります。先般も神戸の街頭演説の場に90歳超えた(拉致被害者の)有本恵子さんのお父さまが来られていて、私の手を握って『頑張ってください。期待して待ってます』という声をいただいて、その責任の重さを痛感しています。あらゆるチャンスを逃さない。果敢に行動すべきときには果敢に行動していき、全力を尽くしていきたいと、こう考えております」
「日露平和条約締結に向けてはですね、70年以上解決されていない問題でありますから、さまざまな難しい課題であり問題でありますが、少しでも前進させるべく努力を重ねていきたいと思います。そして韓国との関係について言えば、輸出管理について言えば、このワッセナー・アレンジメントなど国際ルールのもとで、安全保障を目的に適切な実施の観点から運用を見直したものでありまして、対抗措置ではありません。同時に、輸出管理当局間でもですね、わが国の申し入れにもかかわらず、3年間にわたって協議が行われないなど、輸出管理の土台となる信頼関係が失われてきたのも事実であります。現在、日韓の関係を考えたときに、最大の問題はですね、国家間の約束を守るのかどうか、ということであります。信頼の問題ですね。日韓請求権協定に違反する行為を韓国が一方的に行い、国交正常化の基礎となった国際条約を守っていない。その他にも、慰安婦合意をはじめ、両国間の国際約束を韓国が一方的に破っており、われわれとしてはまず、約束を守ってもらいたいと考えております」
「解散については全く考えておりませんが、今後あらゆる選択肢を排除することなく、まずはこの選挙を受けて、選挙でお約束したことを一つ一つ実行していきたいと考えています」
--総裁任期の延長について改めてうかがう。二階氏は「連続4選は全然おかしくない」と述べた。党則の改正に関与しうる党幹部から、こうした声が上がっていることについてどう考えるか
「二階幹事長のように長い経験を積まれた、自民党の長い歴史を熟知されている二階幹事長からそういうお話をいただいたことは大変光栄なことでございますが、今回の選挙の結果というのはまさに安定した政治基盤の上で、連立与党で、しっかり約束したことを実行せよということなんだろうと思いますので、そこにしっかりと応えていきたい。繰り返しになりますが、すでに3選までと党則で決まっております。残りの任期がまだありますので、残りの任期でですね、先ほど申し上げましたような、少子高齢化に真正面から取り組んで、社会保障制度を作っていく。デフレから脱却をして強い経済を作っていく。外交におけるさまざまな課題に、国益を守る外交を展開していきたいと考えています」
--米国はホルムズ海峡周辺でのタンカー護衛に向けた有志連合について説明会を開いた。日本として難しい判断を迫られるが、どう解決するか。必要であれば、秋の臨時国会で(自衛隊派遣の)特別措置法などを制定することも選択肢となるか
「まず基本的な認識としてはですね、日本は原油の8割以上を中東に依存をしています。中東の平和と安定はエネルギー安全保障上、死活的に重要といってもいいと思います。そして、今後どうしていくのかということでありますが、まずは詳細を詰めていかなければなりませんし、どのような対応をしていくのか。米国の考え方についてもですね、よく詳細に詰めていかなければいけませんので、詳細に申し上げることはできませんが、当然、今ですね、米国とは緊密に連携をとっているところであります」
「同時にですね、日本はイランとも伝統的に友好関係を持っておりますし、私も大統領とも何回も今まで、会談を行い、そして先般、ハメネイ最高指導者とも話をしたところでございます。日本は米国としっかり対話ができるパイプを持っているわけであり、米国はじめ国際社会から、日本の対話ができる関係の重要性を認識していただいている。その中で、今、質問にあったように具体的に、法的にどうなのかという以前の問題としてですね、まずは緊張緩和に向けて日本は日本でできる努力をしていきたいと思います」
「米国がどういうものを形で、どういう目的でやろうとしているのかということをまずうかがってみないとですね、何が求められているかということがよく分かりませんので、まずそれが先だろうと、こう思っておりますが、同時に、日本が求められている役割をまず果たしていきたいと。できる限りですね、ホルムズ海峡の波静かとなるように、日本の役割がありますので、その中で努力をしていきたいと思っています」
=(了)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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