産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)による参院選の中盤情勢調査では、自民、公明両党に日本維新の会などを加えた憲法改正に前向きな「改憲勢力」が3分の2(164議席)に届かない可能性が出てきた。このラインに達するには、32ある改選1人区のうち、自民候補が野党統一候補と接戦か先行を許す計13選挙区での上積みが欠かせず、自民は幹部級を集中的に投入する考えだ。
「未来に向かって憲法をしっかり議論する候補者を選ぶのか、国会議員の責務を放棄して全く議論すらしないのかを選ぶ選挙だ」
安倍晋三首相(自民総裁)は8日、岩手県北上市の百貨店前でこう訴え、改憲への意欲を重ねて示した。1人区の岩手選挙区は小沢一郎元民主党代表の地元で、自民は平成7年参院選以降、公認候補が当選していない「鬼門」だ。今回も野党統一候補が自民候補をリードしている。
1人区では岩手と秋田、新潟、長野、愛媛、沖縄の6選挙区で野党統一候補に先行され、山形、宮城、滋賀、大分の4選挙区でもややリードされている。青森、福島、長崎の3選挙区は接戦となっている。
1人区は前回の28年参院選で自民が21勝した。与党は同水準でも改選過半数を上回るが、29勝2敗(当時の1人区は31)だった25年の当選組が改選を迎える今回、改憲勢力で3分の2を確保するには25年並みの圧勝が必要となる。
このため首相は4日に宮城、5日に新潟、6日に滋賀、8日に岩手に入り、今後も1人区を重点的に回る予定だ。小泉進次郎厚生労働部会長は4日に秋田の3カ所、5日は岩手の4カ所で街頭演説を行ったほか、滋賀、大分にも応援に入った。後半には首相の2度目の応援入りを検討している選挙区もある。(沢田大典)
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参院選の中盤情勢調査によると、立憲民主党は改選9議席から17~29議席への大幅な議席増が予想される一方、主要野党が統一候補を擁立した1人区は前回と同等の勢いにとどまっており、野党共闘の限界を露呈しつつある。
立民は比例代表で11~14議席の獲得が見込まれる。アイドルグループの元メンバーや元人気格闘家ら著名人の擁立が奏功しているとみられ、同党幹部は「彼らはSNS(会員制交流サイト)を通じて伸びている感覚はある」と満足げに語った。
一方、立民、国民民主党、共産党などが皇室観や安全保障政策などの違いを度外視して踏み込んだ野党共闘の勢いには陰りが見られる。32の1人区のうち、自民党候補よりも優勢なのは10選挙区で、最低目標とする前回の「11勝」を上回るほどの力強さは発揮できていない。
野党共闘の限界は複数区でも表面化している。京都選挙区(改選数2)は、国民が候補予定者を降ろし、立民の公認候補を後押しする態勢を整えたが、自民と共産の候補に先行を許している。野党は広島選挙区(同2)で国民系の無所属統一候補を立てたが、当選圏内には入っていない。
前回参院選の後に旧民進党が立民と国民に分裂し、両党間に感情的な対立が生じた。加えて支援団体の連合も一枚岩ではなくなり、組織力が弱まっていることが影響しているとみられる。
情勢調査によると、国民は比例が2~3議席にとどまり、改選8議席から4~7議席への後退が予想されている。同党幹部は「退潮ムードだ。かなり厳しい。立民に比例票が流れているのは野党第一党と野党第二党の差だ」と、立民の「独り勝ち」を嘆いた。(内藤慎二)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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