屋代良樹
熊本県芦北町の自宅で双子の男児の遺体を放置したとして、死体遺棄の罪に問われたベトナム国籍の技能実習生レー・ティ・トゥイ・リン被告(22)に対し、熊本地裁(杉原崇夫裁判官)は20日、懲役8カ月執行猶予3年(求刑懲役1年)の判決を言い渡した。
判決によると、リン被告は昨年11月15日ごろ、自宅で双子の男児を出産。死産だったが、遺体を段ボール箱に入れて室内の棚の上に置き続けて遺棄した。
公判で被告側は、段ボールに入れたのは「埋葬のための安置」で、遺体を捨ててはいないと無罪を主張。リン被告は「妊娠がわかったら帰国させられると思って誰にも相談しなかった」とも訴えた。杉原裁判官は「被告の行為は死産を周りに隠したまま私的に埋葬するための準備で、正常な埋葬のための準備ではない」と主張を退けたが、「(妊娠すれば)実際は仕事ができず、帰国に追い込まれてしまう。十分にサポートする制度もなく、実習生にとっては厳しい環境だった」とも言及した。
リン被告は2018年8月に農業の技能実習生として来日し、芦北町の農家で働いていた20年7月に妊娠が判明した。中絶を試みたができず、出産した。閉廷後、「私は子どもの遺体を捨てたり、隠したりしていません」とのコメントを出し、控訴する意向を示した。
法務省入国管理局は19年3月、実習実施者と監理団体を対象に、妊娠を理由とした技能実習生に対する不利益な取り扱いをしないよう注意喚起している。(屋代良樹)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル