東京電力福島第一原発の事故で福島県双葉町などから埼玉県加須市内に避難した人たちの交流施設「加須ふれあいセンター」(加須市正能)が、先月末に閉鎖した。運営するNPO法人も今月17日に解散する。県内では高齢化やコロナ禍の影響で避難者同士の交流の場が減っており、支援者らは「交流施設の維持が重要」と訴える。
センターで2月26日正午前、お別れの会が始まった。冒頭、代表理事の富沢トシ子さん(75)が「双葉町と加須市の皆さんのおかげで活動を続けられた。感謝の気持ちでいっぱいです」とあいさつ。集まった約40人がおふかしや煮物などを味わい、マスク着用や換気など新型コロナウイルスの感染予防策をとりながら、午後4時ごろまで思い思いの時間を過ごした。
センターは東日本大震災以前から地元の加須でボランティア活動をしていた富沢さんが2012年7月に立ち上げた。当初は旧県立騎西高校で避難生活を送った双葉町民が作る着物の販売などをしていたが、しばらくして「温かいご飯が食べたい」という避難者の声を聞き、手作りの定食を300円で提供し始めた。以来約8年余り、休日を除き毎日避難者に昼食を振る舞い、双葉町を回るツアーや他県に住む避難者との交流会も定期的に開催した。
だが、この1年は新型コロナの影響で1日約15人だった利用者が10人ほどに減少。売り上げに補助金などを足しても家賃などの運営費用を賄えなくなっていた。富沢さんも活動を支えてくれた夫を昨年1月に亡くして自分の生活との両立が困難となり、閉鎖を決断したという。
お別れの会に参加した避難者の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル