新型コロナウイルスのワクチン接種に反対する目的で集団接種会場に侵入したとして、建造物侵入の罪に問われた反ワクチン団体「神真都(やまと)Q会」の理事の浜田和彦被告(49)の初公判が17日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。弁護側は「暴行や脅迫には及ばず、目的も手段も正当だった」などとして無罪を主張した。被告は昨年12月、罰金10万円の略式命令を不服として、正式裁判請求をしていた。
起訴状によると、浜田被告は昨年3月13日、同会のメンバーら7人と共謀し、静岡県焼津市の集団接種会場に侵入した。検察側は冒頭陳述で、「会場には『ワクチン接種に来られた方以外の立ち入りはご遠慮ください』と書かれた立て札があった」と指摘。8人は立ちふさがった現場責任者の胸を押すなどした上で、「接種ブース内にいた医師に詰めより、逃げる医師を追いかけ回した」と述べた。
検察は会場での映像を公開。メンバーらが「殺人を犯してんだよ」「逃げてもだめですよ、どこまでも追いかけますよ」と医師らに迫る様子が記録されていた。
弁護側は「ワクチンは人口削減のために開発された」「とんでもない殺人ワクチンだ」などと述べ、集団接種の中止を目的とした侵入は、正当な行為だと主張した。
公判はメンバーや、メンバーの子どもら15人ほどが傍聴。傍聴していた男性メンバーは「集団接種会場で、安全性が証明されていないワクチンを目の前で打たれていたら冷静でいられないのは当然だ」と話した。
本部を同県袋井市に置く神真都Q会は、21年秋ごろからネット上で支持を集め、その後に反マスク・反ワクチンを訴える全国同時デモを始めた。
事件をめぐっては、浜田被告ら8人は昨年12月に逮捕され、建造物侵入の罪で静岡簡裁から罰金10万円の略式命令を受けた。浜田被告のみは「医療相談の目的で立ち入った」と命令を不服とし、静岡地裁に正式裁判請求をしていた。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル