宇宙航空研究開発機構(JAXA)の飛行士を派遣するなどの便宜を図った見返りに接待を受けた収賄罪で、有罪が確定した文部科学省の川端和明・元国際統括官が、JAXAの業務委託を受ける宇宙関連会社に再就職していたことがわかった。再就職は有罪確定の約2週間後の今年1月。文科省は「あまりに早く、国民に疑念を持たれる」と本人に再考を促したが、返事はなかったという。
元統括官は、JAXA理事に出向していた2015~17年、贈賄側のコンサル会社元役員の営業先だった大学に飛行士を派遣するなどの便宜を図り、見返りに飲食接待(21回で約148万円分)を受けたなどとして、昨年12月に東京地裁で懲役1年6カ月、執行猶予3年などの判決を受けた。
元統括官は控訴せず、一審判決が確定したあとの12月19日に国家公務員法に基づき失職。その後、今年1月1日に東京に本社がある宇宙関連会社の非常勤顧問に就いたという。
この会社は、国際宇宙ステーション(ISS)の日本の実験棟「きぼう」の運用や日本人飛行士の訓練などでJAXAから業務を委託されている。現在の常勤役員7人のうち3人がJAXAのOB、1人が文科省のOB。
文科省は、元統括官の届け出を受けて再就職を把握。在職中にあっせんなどの違反がないことを確認した。ただ、再就職先と時期が「文科省の信頼を失う事件で有罪が確定した直後で、JAXAと関連の深い会社」だったため、「国民の疑念を抱かせる」とする文書を元統括官に郵送し、再考を求めたが、元統括官から返事はないという。
JAXAも関連会社に文書で懸念を伝えた。関連会社は「今も非常勤顧問として在籍している。コメントは特にない」としている。(小川詩織、石倉徹也)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル