服役中の受刑者の選挙権を認めない公職選挙法の規定は憲法違反だとして、長野刑務所で受刑中の男性(37)が、国を相手取り、次回の国政選挙で投票できる地位の確認などを求めた訴訟で、東京地裁(岡田幸人裁判長)は20日、規定は合憲だとして男性の訴えを退ける判決を言い渡した。
公選法は「選挙権及び被選挙権を有しない者」として、「禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者」などと定めている。
この規定については過去に2件の高裁判決があるが、結論は割れている。
大阪高裁は2013年、規定は選挙権を保障した憲法15条や44条などに違反するとの判断を初めて示した。ただ、原告側の賠償請求は退けたため、上告されずに確定した。
一方、広島高裁は17年に「合憲」と判断した。原告が上告したが、最高裁は上告理由にあたる憲法違反などがないとだけ判断して退け、確定した。
今回の裁判の訴状などによると、男性は19年9月、詐欺罪で懲役7年の実刑判決を受けた。そのため、21年10月の衆院選、22年7月の参院選などで投票ができなかった。
男性は「一律に主権者の地位を奪うことは憲法違反だ」と主張。犯罪者の更生保護などに取り組む議員を国会に送り出したいと考えているのに投票できず、「受刑者であるという一面的な理由だけで選挙権を差別するのは不合理だ」と訴えた。
次回の選挙で投票できる地位の確認のほか、2回の国政選挙で投票できずに精神的苦痛を受けたとして、計3万円の慰謝料も求めていた。(金子和史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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