コロナ禍の影響で、大学の学生募集や授業の方法に特に大きな影響が出ていることが、朝日新聞と河合塾による「ひらく 日本の大学」緊急調査でわかった。秋以降に経済的理由による退学・休学が増え、経営の悪化を予想する大学も多い。一方、オンラインの普及を機に授業内容を見直す動きも。終息の見えない感染症は、大学の運営や教育を大きく揺るがしている。
調査は6月24日~今月27日、国公私立の768大学を対象に行い、85%にあたる652大学が回答。14項目の選択肢を示し、「現在」と「夏季休暇以降」について、特に大きな影響があると考える問題を五つまで選んでもらった。
現在で最も多いのは、オンライン授業の導入など「授業の実施方法」で82%。「学生募集」が66%、「授業の開始・実施時期や回数」が57%、「就職活動」が51%で続いた。
夏休み明け以降の予想については「学生募集」が77%と最多になった。オープンキャンパスを中止にし、オンライン企画で代替しているものの、受験生の減少を懸念する声が目立った。
学生への影響を懸念する声も大きく、コロナ不況で採用を減らす企業が増えるとみて、「就職活動」への影響を予想する大学が現在より10ポイント増えて61%に。家計の悪化により、「退学・休学の増加」も現在の9%から28%に大きく増える。広島県の私立大は「オンライン授業が続くと学生が学修意欲を持ち続けるのが難しい」と退学者増加を心配する。
「大学の経営状態」も、現在の9%から16%に増える。東北、大阪、名古屋、慶応義塾などの有力大学も大きな影響が出ると予想。オンライン授業に対応する設備への投資や、学生への支援金の支給が重くのしかかるほか、「病院の収支悪化による大学経営への影響が懸念される」(九州・沖縄の国立大)など、コロナ対応に伴う付属病院の収入減を挙げる大学も目立った。
また、海外との往来の制限が続き、37%が、日本人留学生の送り出しや外国人留学生の受け入れに関する影響が大きいと答えた。
授業については、94%が現在、全授業または一部をオンラインで実施していると回答。9月以降は半数近くが「未定」としたものの、全授業を対面で行うと答えたのは12%だった。
一方、オンライン授業の定着が、今後の教育を改善するきっかけになるとの見方も多い。「対面授業と組み合わせれば教育効果を向上させられる」「国内外の大学との連携、社会人らの学び直しが加速する」などと期待を示すケースも目立った。(編集委員・増谷文生)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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