広告であることを隠し、消費者の純粋な感想や口コミを装って宣伝する「ステルスマーケティング(ステマ)」の規制に消費者庁が乗り出す。広告だと認識できないようにする手法は消費者を誤認させ、合理的な商品選択を阻害する恐れがあると判断した。商品やサービスに関する不当表示を規制する景品表示法に基づく告示で来年度、禁止行為に加える方針だ。
消費者庁の有識者検討会が近く規制のあり方について提言をまとめる見通しで、同庁は提言を踏まえて具体的な制度設計に着手する。公聴会開催などの手続きを順次進める。
ステマは、実際は金銭などの対価がある広告なのに中立的な立場を装って行っている広告を指す。SNSでの投稿やECサイトのレビュー、プラットフォーム上の口コミ投稿などで指摘されている。有名企業や著名人、SNSなどで影響力のある「インフルエンサー」によるステマがたびたび表面化してきた。
ただ、現行の景品表示法は商品やサービスが実際より優れているように宣伝する不当表示などを禁止しているものの、広告であることを隠すステマ行為は規制の対象外になっている。
消費者庁は、広告だと知っていれば消費者はある程度誇張が含まれているととらえ商品の選択でも考慮できるものの、広告だと分からなければ合理的な選択ができなくなると判断。同法に基づく告示で指定されている禁止行為に、新たにステマを「事業者の表示であることを判別することが困難」な表示として追加する方向だ。
規制の対象は、広告を依頼する広告主とする。「広告」「プロモーション」「PR」といった文言で広告だと明示しないステマ行為が行政処分の対象となる。ステマにあたる書き込みを行った側は、行政処分の対象外となる。
規制はネットに限らず、新聞…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル