可視化下の取り調べで「机たたく」「怒鳴る」 地裁「由々しき事態」

森下裕介 松浦祥子

 大阪府内の学校法人の土地取引を巡り、業務上横領罪に問われ、無罪が確定した不動産会社の元社長が、元部下の取り調べを担当した大阪地検特捜部の検事を特別公務員暴行陵虐の罪に問うよう求めた付審判請求に対し、大阪地裁は2019年12月の取り調べについて「陵虐行為にあたる」と認定した。ただ、こうした取り調べを継続的にしていたわけではないとして、付審判請求を棄却した。

 佐藤弘規裁判長は3月31日付の決定で、担当検事が元部下の取り調べで机をたたき、怒鳴り、元部下を責め立てたと認めた。録音・録画された取り調べだったことは「驚くべき由々しき事態」とし、「裁判所は許容しない」と指摘した。特別公務員暴行陵虐罪の疑いがあるとも言及したが、継続的ではなく「訴追の必要はない」と結論づけた。

 この事件では、検察側は元社長の有罪立証の柱に、元部下への取り調べ内容を据えていた。佐藤裁判長は「意に沿う供述を無理強いしようと試みた」とした。

 元社長の弁護団は「検察は改めて担当検事の人事上の処分や再発防止策を検討すべきだ。棄却決定については、抗告を検討する」とのコメントを出した。(森下裕介、松浦祥子)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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