台風19号の被害対応で与野党は15日、攻防を繰り広げた。野党側は、自民党の二階俊博幹事長の「(被害が)まずまずに収まった」発言を厳しく批判し、二階氏は撤回に追い込まれた。開催された参院予算委員会を巡っても、野党は被災地復旧に集中するよう延期を求め、外交日程などを控えて審議を予定通りに進めたい政府与党との間でさや当てを演じた。
二階氏は13日、「予測に比べると、まずまずに収まったという感じだ」などと発言。これに対し、この日の参院予算委では立憲民主党の杉尾秀哉氏が「信じられない発言だ。憤りしかない」と追及。他の野党も「驚き、あきれ、怒りを通り越して本当に許せない」(共産党の小池晃書記局長)などと足並みをそろえた。
安倍晋三首相は、答弁で「発言は承知していない」「政府としては救助活動に全力を挙げている」などとかわしたが、審議がストップするなど紛糾。二階氏は夕方、記者団に「被災された皆さまに誤解を与えたとすれば、表現が不適切だった。今後、災害復旧に全力を尽くしたい」と述べ、発言を撤回した。
野党側は「閣僚は台風の被害現場に赴くか、各省庁で指揮を執るべきだ」(立民の福山哲郎幹事長)などとして、参院予算委を延期することを提案したが、与党側は冒頭に台風関連の審議を1時間追加することとし、開催にこぎ着けた。
野党にとって、テレビ中継がある予算委は政府をただす姿勢をアピールできる舞台。それでも「休戦」を求めた背景には、台風の被害対応に関心が集まる中で、政府の問題を追及するのは得策でないとの判断が働いた。
片や与党が開催にこだわったのは、臨時国会中に閣僚の外遊日程などが立て込んでいることに加え、「『国会で丁寧に台風の被害対応を説明したい』との首相の意向があった」(政府関係者)という。 (一ノ宮史成)
西日本新聞社
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