台風19号 孤立続く集落、支援物資は手渡しリレー 埼玉・秩父(産経新聞)

 台風19号の上陸から1週間が過ぎ、各地で復旧作業が急ピッチで進む中、埼玉県内では、いまだに道路が寸断され、車両による往来ができない孤立した集落がある。県によると、県西部で計24世帯39人が孤立しており、うち紅葉の名所で知られる秩父市中津川地区は、道路復旧の見通しが立っていない。生活再建への道は遠く、猛威を振るった「豪雨台風」は観光地を直撃した。(岡田浩明)

 秩父市大滝総合支所によると、孤立化する中津川地区(14世帯17人)は高齢者が多く、住民は「一日でも早く道路の復旧をお願いしたい」と口をそろえて早期復旧を待ち望む。

 この地区は、台風19号で市街地につながる唯一の生活道路といえる県道の中双里(なかそうり)付近で、落石や土砂崩れから守るために作られたトンネルのような形状の構造物「ロックシェッド」(全長約21メートル、全幅約10メートル、高さ約4・5メートル)を含めた全長80~100メートルで県道の一部が崩壊した。

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 原因は、県道に沿って流れる河川が増水し、構造物を支えていた護岸が削られ、積もっていた土砂の重みでロックシェッドが道路とともに崩れたとみられる。付近は片側1車線で幅員は7メートル。ロックシェッドの部分は崩落後、人が一人通れるような幅1メートル弱の隙間しかなく、車両の通行は不可能だ。

 市によると、集落には県警の駐在所があり、台風19号の被害以降、集会所に消防署員が交代で駐在している。市街地に遠いため、住民は普段から買いだめをしているが、孤立化は長期化が見込まれる。

 このため、市は集落の住民と連絡をとり、生活に必要な飲食品や常用薬のほか、ガソリンなど車両の燃料を中双里手前まで運搬。その反対側で待ち受ける集落の住民に届ける支援物資の「手渡しリレー」で急場をしのいでいる。住民の健康に問題はないという。

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 紅葉スポットの中津川地区は秋が深まると、観光客が押し寄せるが、周辺の河川はなお茶色の水が流れ、台風19号の爪痕が残る。市内の観光業者は「これからトップシーズンを迎える。突貫工事で道路を復旧してほしいが…」と漏らす。

 だが、県秩父県土整備事務所管内は国道140号を含め8カ所で通行止め(20日午前11時時点)。同事務所の木村和正副所長は「片側通行でもいいので、早期に復旧したいが、紅葉時期に間に合うか見通せない」と語り、通行止め解除には時間がかかりそうだ。

 通行止めの区間には、関東屈指のパワースポットとして参拝者が絶えない三峯神社につながる道路も含まれており、神社はホームページで「通行止めが解除されるまでお詣りはお断りしております」と伝えている。

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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