阿賀野川支流の常浪(とこなみ)川沿いにある酒造会社「麒麟山酒造」(新潟県阿賀町)では、台風19号の影響で日本酒の貯蔵庫が浸水し、約9万リットル(一升瓶で約5万本)分が出荷停止状態に陥っている。日本酒を詰めたタンクは密閉されているため品質に問題はないというが、同社は11、12月の日本酒シーズンを前に復旧を急いでいる。
貯蔵庫にあったのは、主に生酒専用貯蔵タンク18本。計約9万リットル入っており、一升瓶(1・8リットル)に換算すると、約5万本分になる。商品名は「ホワイトボトル大吟醸生」と「生酒辛口」。今後、1カ月以上は出荷できない見込みだという。
同社によると、貯蔵庫に浸水し始めたのは13日午前4時ごろ、排水溝から湧きだし、従業員数人がポンプで排水したが間に合わず避難。9時ごろには水深が約90センチに達した。その後2時間ほどすると、水が引き、残った泥を掃き出す作業に追われた。
翌14日朝には、従業員24人で本格的な清掃を行い、ボイラーなどの設備を点検。すでに空調設備が使用できないことが分かり、交換しなければならなくなった。今後、殺菌剤を空中散布する必要もあるという。
同社の清野浩一郎製品部次長は「被害に遭ったのは全体の1割程度だが、今月から12月にかけて繁忙期になっていくので、痛手だ。欠品すると、お店やお客様に迷惑がかかる。できるだけ早く出荷を再開したい」としている。
貯蔵庫は平成23年の新潟・福島豪雨時に今回を上回る145センチの浸水があった。これを受け、一部の機器を床から壁の高い位置に取り付けるなどの対策をしており、被害は当時より小さくなる見込みだ。
16年の中越地震で被災した県内のある酒造会社は「うちは風評被害で苦労した。ファンが支えてくれるような動きがあるといいが…」と胸を痛めている。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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