ハウスの倒壊など、関東地方に甚大な農業被害をもたらした台風15号の襲来から半年が過ぎた。施設園芸が大打撃を受けた茨城県鹿行地域では、農業用ハウスの復旧が徐々に進む一方で、ハウスを建てる人手が足りず、復旧が手付かずの地域もある。全面的な復旧、営農再開にはなお時間がかかりそうだ。(福本卓郎)
神栖市でピーマンを栽培する野口一彦さん(53)は、パイプハウス12棟が倒壊する被害を受けた。業者の確保などが難しく8棟を自らの手で再建して春からの出荷に間に合わせたが、壊れた大きなハウス3棟の再建のめどは立っていない。1棟は再建を断念した。土の消毒や土づくり、苗の確保など、準備作業もあるので、「5月までに再建しないと、収入は通常の半分くらいに減ってしまう」。
野口さんは自力でできる対策として、被害に遭ったハウスを補強している。曲がったパイプは伸ばし、破けたビニールに新しいものを当てて継ぎはぎした。「メーカーに聞いてビニールだけとか、パイプの一部だけとか、必要な資材を苦労して取り寄せた」。台風が再び襲えば、とても耐えられる強度はないとみているが、生産量を確保しようと、やむにやまれず修復に時間とエネルギーをかけた。「できれば台風に耐えられるような強度のあるハウスが建てられる支援をしてもらいたい」。野口さんの切なる願いだ。
復旧で先行するのは大型ハウスでパイプハウスは思うように作業が進んでいない。JAほこたメロン部会長で鉾田市の田山浩志さん(59)もその一人。75棟のうち23棟のパイプハウスが倒壊する被害に遭った。早期の営農再開へハウスの再建を決めたが、業者が人手不足で思うように進んでいない。「業者から1月に来ると言われたが2月に延び、今に至っている」と田山さん。資材を撤去できていないハウスも数棟残る。5月上旬のメロンの出荷に間に合うように、被害の少なかったハウスを使いしのいでいるが、「これ以上復旧がずれ込むと、営農計画が大きく狂う」と頭を抱える。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース