TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。3月10日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、拓殖大学非常勤講師の塚越健司さんが“買い占めの原理”について見解を述べました。
◆買い占めの原理とは?
新型コロナウイルスの感染拡大で紙製品が不足するというウソの情報が広がった影響で、トイレットペーパーなどをふるさと納税の返礼品にしている自治体に寄付が殺到。なかには受付を停止する自治体もあり、担当者は「寄付が増えるのはありがたいが、デマ情報に踊らされないで」と呼びかけています。
塚越さんは買い占めをしている人について、「誰かが買い占めると自分が損をするので仕方なく買い占めているケースもある。デマとわかっていて買う人もいると思う」と言います。
そういった人の心理は「協調ゲーム」を使って説明されることが多いそう。それは、誰でも買える状態が一番いいものの、1人が買って、1人が買わないとそこで格差が生まれる。2人とも買うと誰でも買える状態よりは良くないが、その2人は損をしないだけに、「その状態を目指してみんな買っている」と塚越さんは解説。
さらに、情報の真偽と消費行動の関係について「自分の損得を計算してみると、デマとわかっていても買い占める。ないしはデマだからこそ買おうと思う。なぜなら(デマに)踊らされた人々がたくさん買って、自分が買えなくなってしまうから」と買い占めをする人の心理状態を説明します。ただ、これはある意味「非常に理性的な行動」で、なぜなら購入者からしてみれば、自分が損をしないことが大事だから。
MCの堀潤も、買い占めに加担してはいけないとの思いからトイレットペーパーの購入を自粛したものの、いざ店頭になくなると「買っておけば良かった」と思ったそうで、「理性的に行動したつもりが、本当にモノがないと不安」と心の内を吐露。
また、キャスターの宮瀬茉祐子は「あるときからデマが事実にというか、本当にトイレットペーパーがないことが事実になってしまう」と不安を口にすると、塚越さんもそんな状況を憂います。
◆買い占めの現状打破に必要なこと
ではどうするべきか……現状を打破する手段としては「買い占めるな」、「デマに踊らされるな」と言うよりも、むしろ「十分な在庫の周知が効果的」と塚越さん。実際、製紙会社がSNSで大量の在庫があることを投稿したり、大手スーパーが特設コーナーを作り「お1人様10個まで」とアナウンスしたりといった例も。「それでみんな落ち着く。買い占めることに意味がないと思わせることが有効的」と言います。
しかし、一方で現実的にモノがない場合があります。ただ、そんなときに買い占めをしている人を罵倒してしまうと、「すればするほど不安な気持ちが高まり、デマとわかりながらも買ってしまう」と塚越さんは言い、心のケアを推奨。「損得は大事、でもその次に社会全体を考えてみるとか、罵倒ではなく話し合うことで心のゆとりを持っていただくのがいい」と訴えていました。
この意見に弁護士の横山智実さんは「誰と話し合うべきなのか」と疑問を投げかけると、塚越さんは「まずは近しい人たちで話す。あとは少し落ち着いている人と話すのがいいと思う。デマや噂は、不安な人同士で話すとさらに拡散してしまうことがある」と回答。
また、インターネットを見ていない高齢の方などは、モノが不足すると「とにかく買わないと」と思ってしまうことがありますが、その際にも怒ってはいけないと塚越さんは注意を促し、「そういった不安を一度飲み込む胆力が必要だと思う」と話していました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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