「国産」として販売していたアサリの産地は、実は違ったのではないか――。
ある生協が昨年、調査に乗り出した。販売元の業者に伝票をすべて出させ、データを分析し、現場にも訪れて実態を確かめた。疑惑はすぐに確信へと近づいた。
ところが、肝心の業者の社長と連絡がとれなくなり……。
きっかけは昨年1月下旬、テレビの報道番組で、熊本県でアサリの産地が偽装されているとの疑いが報じられたことだった。
さらに農林水産省が昨年2月1日、アサリをめぐる調査結果を発表した。
熊本県の年間漁獲量の数十倍以上となる量のアサリが、「熊本県産」として販売されている――。
そんな衝撃的な実態が伝わると、全国の小売店から一時、「熊本県産」のアサリが姿を消す事態となった。
産地にこだわり、約43万人の組合員がいるグリーンコープ生活協同組合連合会(福岡市)も対応に追われた。
商品カタログの中に「国産(稚貝:中国産、蓄養:天草)」と表示された冷凍アサリ(80グラム)があった。取り扱いを始めた2015年から、計約23万パックが出荷されていた。
この冷凍アサリを仕入れていた東京の水産会社に「アサリが本当に熊本県産か、流通経路をさかのぼって調べさせてほしい」と求めた。
聞くと、アサリの販売元は「カナメ水産」という佐賀市の業者だった。
カナメ水産→横浜市の卸問屋→東京の水産会社→グリーンコープという流通経路をたどっていたアサリ。本当に「国産」なのか、生協は徹底的に調べました。そこで、驚くべき「でたらめ」に直面します。
アパートの一室、対応したのは上下ジャージー姿の男性
そのアサリが横浜市の卸問屋…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル