第75回全日本合唱コンクール全国大会(全日本合唱連盟、朝日新聞社主催)が29日、青森市で始まる。全国から出場者が集い、歌声を披露する予定だ。コロナ禍で迎えた前回の大会では、マスク越しに歌声を響かせた団体が目立ったが、今回はどうだろうか。感染対策や、合唱時のマスクに関する国の見解について確認した。
「少人数、コロナによるマスク着用での歌唱など合唱部の活動としては厳しい状況が続いています」
「マスクをしたままでステージ演奏することの虚無感を痛感します」
「少人数化に加え、マスク着用での歌唱活動が続いているため、まともに活動ができていない状況でこのまま続けていく価値があるのかどうか考えてしまうほどです」
「コロナ感染対策で目の敵にされてつらいです」
全日本合唱連盟は今年、中学校と高校の合唱指導者にアンケートした。寄せられた回答には、コロナ禍で合唱時にマスクを着用したまま歌うことの難しさを訴える声が目立った。
連盟によると、今回の全国大会は「歌唱時に前後2メートルと左右1メートルの間隔を取る場合はマスクを外してもよい」「舞台袖や客席での会話はしない」といったガイドラインに沿って運営する。本番の演奏時以外は常時マスク着用を求める。最大で約100人が一度に舞台に並び、歌う予定だ。
大会は29、30日に高校、中学の部がある。11月13日には小学校の部がある。全国大会の舞台上で、マスクを着けたまま歌うかどうか、最終的に決めるのは参加団体だが、他の合唱コンクールでは、子どものマスク着用に対して「歌いにくそう」「呼吸がつらそう」といった保護者などからの反応もあった。
そのため、連盟はマスクを外して歌う団体は、昨年の大会よりも増える可能性があると予想している。
合唱時のマスク着用について、国はどうみているのか。文化庁の学校芸術教育室は「マスクの着用は勧めているが、強制ではない」としている。
文部科学省と文化庁は2020年、学校での合唱について「マスクは飛沫(ひまつ)拡散防止の効果があるため、原則、着用すること」と求める通知を都道府県教育委員会などに対して出したが、この内容は「当時の感染状況に沿ったもの」だった。国内では当時、まだコロナワクチンの接種も始まっていない状況だった。
現時点では、今年4月にホームページで公表した最新の学校衛生管理マニュアル(https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00029.html)に基づき、合唱時のコロナ対策を求めているのだという。
文化庁は「地域の感染状況を見つつ、とれる対策によってはマスクはしなくてもよい」としている。
一方で、連盟によれば「大会本番でマスクなしで歌うことは難しい」といった声も、参加する学校や連盟支部の中からあがっているという。
なぜなのか。
合唱時にはマスクの有無で声…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル