同じ台地に6千年、定住支えた海の恵み 縄文人は住居と墓を分けた

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編集委員・宮代栄一

世界遺産 縄文遺跡をゆく④ 垣ノ島遺跡

 北海道函館市の垣ノ島遺跡は世界遺産に登録された北海道・北東北の縄文遺跡群の中で、最も新しく整備された遺跡だ。新型コロナウイルスの感染拡大で公開日がずれこみ、世界遺産登録決定の翌日にあたる昨年7月28日にオープンした。

 この遺跡の特徴の一つは、紀元前7千~同千年の約6千年間という極めて長い期間にわたって、同じ台地上に集落が営まれたことにある。

 遺跡があるのは北海道の南、渡島半島の太平洋に面した函館市臼尻町だ。函館駅からは車で1時間ほどかかる。

 入り口を入ってすぐの所にある展望デッキから、全景を眺めた。遺跡は太平洋に向かって張り出した台地上に広がっている。奥に目をやると、なだらかな土の盛り上がりが見えた。

 「盛り土遺構」である。カタカナの「コ」の字の形をしており、長さ190メートル、幅120メートル。土器や石器などを土砂とともに盛り上げて造られた塚で、すべてのものの魂を送るための「送り場」だったと考えられている。手前には縄文人が暮らした竪穴住居の跡が、埋まり切らないくぼみの状態で展示されていた。

 函館市教育委員会文化財課の…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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