同性婚を認めていない民法や戸籍法の規定を「合憲」とした6月20日の大阪地裁判決。「違憲」とした昨年3月の札幌地裁判決と判断が分かれた。ネット上では「同性婚の制度化には改憲が必要だ」「(考え方が)古い」といった声も出た。どう考えたらいいのか。憲法学者でジェンダー法学を専門とする東北大学の辻村みよ子名誉教授、同じく憲法学者で京大大学院の曽我部真裕教授、社会課題の解決をめざす「公共訴訟」に取り組む井桁(いげた)大介弁護士に聞いた。(文中敬称略。3人へのインタビューを再構成しました)
憲法上の争点は、同性どうしの結婚が認められないのは、
①「婚姻の自由」を保障した憲法24条に違反しているか
②「法の下の平等」を定めた憲法14条に違反するか
の二つだ。憲法24条について、大阪、札幌判決とも「違反しない」とした。一方、憲法14条について、大阪判決は「違反しない」、札幌判決は「違反する」と判断が分かれた。
そもそも憲法24条の「両性」とは?
――憲法24条の「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」という部分の「両性」とは、何を意味するのでしょうか。
辻村 「両性」は憲法学上、以前は「男女」と考えられていた。現在は、親などの意思とは関係なく、結婚をする「両当事者」という意味だと考えられる。
曽我部 憲法制定当時の趣旨から離れ、現在の社会情勢に応じた解釈をすることは一般的には可能だが、この条文が同性婚を保障していると読むには、高いハードルがあると思う。憲法24条は、戦前における女性の地位の低さに対する問題意識が根底にあった。条文の続きには「夫婦が同等の権利を有する」と明記されており、家制度の否定や男女の平等を定めた規定と読むべきだろう。
同性婚の法制化には、改憲が必要?
――大阪判決が「合憲」としたことを受け、「同性婚の制度化には改憲が必要だ」との声も上がりました。
曽我部 それは違う。同性婚を認める立法が違憲になるならば、憲法改正は必要だ。でも、大阪判決はそうは言っていない。「異性間の婚姻のみを定めているからといって、同性間の婚姻制度の構築を禁止する趣旨であるとまで解するべきではない」と述べている。ただ、憲法は同性婚を保障していないので、法律婚との間に法的保護の差があっても、「著しい不平等とまではいえない」としたのが大阪判決の立場だ。
――大阪判決が言及した「婚姻は、男女が子を産み育てながら家族として共同生活を送り、次世代に承継していく関係」といった部分について、ネット上では「古い」「人権意識のかけらもない」などと批判されています。
辻村 国側の主張をなぞって…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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