上保晃平 石垣明真
当事者の切実な訴えに、裁判所は棄却という判断を下した。パートナーが同性であることを理由に扶養手当などを支給しなかったのは憲法違反だとして、元北海道職員の佐々木カヲルさん(54)が道などを訴えた訴訟。札幌地裁は11日、佐々木さんが求めた損害賠償を退け、違憲かどうかの判断は示さなかった。
「とことんやった。自分がやれることは全部やった」。道などに損害賠償を求める訴えを札幌地裁が退けると、佐々木さんは時折、涙声になりながら語った。原告側は控訴しない方針という。
佐々木さんが道などに扶養手当を申請したのは約5年前。支給認定を2度不可とされ、2021年6月に提訴した。
原告側「空疎で血が通っていない不当判決」
裁判では、道職員の給与条例が定める「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に、同性パートナーが含まれるかどうかが争点となった。
判決は、条例上の「配偶者」や「婚姻関係」の考え方について「民法上の婚姻に関する概念を前提としている」と指摘。事実婚関係に同性カップルを含まないとする道の解釈について、「民法の定める婚姻法秩序と整合する一般的な解釈だ」と結論づけた。道などが同性カップルも含むと解釈する義務を認めず、憲法判断も示さなかった。
原告側の高橋友佑弁護士は、判決後の会見で「憲法判断に一切立ち入らず、安易に適法と決めつけるもの。空疎で血が通っていない不当な判決だ」と指摘。佐々木さんも「裁判を起こしたのは、福利厚生制度を他の職員と同様に同性カップルにも認めてほしい、排除しないでほしいとの願いからだった」と述べた。
判決に無念さをにじませた佐…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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