大学受験に向け血眼な子、冬休みが楽しみな子……。1997年11月末、同志社高校(京都市)3年A組の教室は、いつも通りざわざわしていた。
キリスト教学を担当する原田博行先生が、普段と変わらぬ調子で切り出した。
「今日は同性愛についての授業をします」
同性愛を公表している歌手の笹野みちるさんのことを話し始めた。大学生の頃からの親友だという。
授業を聞いていた井上ひとみさんは、同じクラスに好きな女の子がいた。
幼い頃から、母に連れられて教会に通った。同志社中に入学すると、朝の礼拝で聖書の一節を読む。「同性愛はあかんことなんや」。そう思わされるような話ばかりだった。
でも、先生は言った。
「僕はクリスチャンとして、同性愛を否定しない。その人がその人らしく生きることを応援するのがキリスト教やと思う」
先生になら話してもいいかな。心が揺れ始めた。
誰にも言わないまま、迎えた卒業
授業の終盤、先生が問いかけ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル