本人の同意を得ても法律に違反する-。就職情報サイト「リクナビ」を運営する「リクルートキャリア」(東京)が学生の内定辞退率を算出したデータを企業に販売していた問題で、リクルートキャリアへの行政指導をした厚生労働省は個人情報の取り扱いについて、8月26日の政府の個人情報保護委員会よりも厳格な見方を示した。個人情報の保護をめぐっては、公正取引委員会も「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業の規制指針案を公表、インターネット検索や通販などのサービス利用者を守る姿勢を打ち出しており、こうした流れは一層加速しそうだ。
「就職活動に不利に働く恐れの高い事業は今後行うべきではない」。根本匠厚労相は6日の閣議後会見で、今回の問題が就活をする学生に不安を引き起こしたと批判し、こう述べた。
厚労省が同日、業界団体に出した文書でも、学生本人の同意の有無にかかわらず、企業への同種のデータ提供が「学生の立場を弱め、不安を惹起(じゃっき)させ、就職活動を萎縮させる恐れが高いものと言わざるを得ない」と指摘した。
就活生が「リクナビ」などの大手就活情報サイトを使わざるを得ない現状も踏まえ、同種のデータ提供が学生のデメリットにならないよう求めた形だ。
厚労省の担当者は、業界全体に個人情報の適正管理を求めることで、「他山の石にしてほしい」とする。
リクナビと並ぶ大手就活サイト「マイナビ」の運営会社は「業界団体への要請を精査し、適切な事業運営に努めていく」(広報部)としている。就活サイト「キャリタス」を運営する「ディスコ」は、内定辞退率などのデータを企業に販売していないが、「今後も個人情報の適正な管理を徹底し、学生に安心して使ってもらえるサービスを継続していきたい」(広報担当)と話している。
一方、就活サイトに登録する学生を抱える大学側の不信感も高まる。
「就職のサポートは建前で、利益を優先したという印象を受けた」。中央大学キャリアセンターキャリア支援課の北沢竜一副課長は、一連のリクルートキャリアの問題に対して、こう話す。
中央大ではこれまで、学生向けの就職説明会で情報サイトを紹介。リクナビも含まれていたが、外すことを決めた。北沢副課長は「(リクナビは)長年登録していたが一切やめることが(学生に対する)誠意を持った対応だと思う」と話した。
明治大でも令和3年3月卒業生向けの就職説明会で、学生に紹介していた就職情報サイトの一覧からリクナビを外すことを決定。就職キャリア支援事務室の担当者は「これだけ騒動になっている中で、登録を勧めるようなことはできない」と語った。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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