東京電力福島第一原発事故の影響で、今も大半が帰還困難区域となっている福島県浪江町の津島地区。阿武隈の山あいにある集落の住民を追った記録映画「津島―福島は語る・第二章―」が、3月2日の東京を手始めに、各地で公開される。開拓時代や長年続く伝統芸能、帰還を望みながらかなわなかった家族との思い出など、住民18人の声を伝える。
監督を務めたのは、パレスチナを30年以上取材してきたフリージャーナリストの土井敏邦さん(71)。パレスチナの人々の苦悩と、原発事故で故郷を追われた福島の人々の姿が重なり、震災翌月から福島県内各地を取材してきた。これまでに、浪江町に隣接する飯舘村の人々を描いたドキュメンタリー映画「飯舘村 第一章・故郷を追われる村人たち」(2012年)「飯舘村―放射能と帰村―」を制作。放射能から子どもを守るために避難した女性や県内の農家など100人を、14年から4年かけて訪ね、記録映画「福島は語る」(19年)も完成させた。今回は「福島は語る」の第二章と位置づけた。
津島は「銭はなかったけど、夢があった」
テーマに「津島」を選んだのは、津島地区の住民約700人が訴えた原発集団訴訟の意見陳述集を目にしたことだ。家の隣で捕った魚や、裏山で採った山菜を食べて生活していたこと、伝統芸能「田植え踊り」を毎年踊ることで地域コミュニティーが保たれていたことなど、地域の自然風土に根ざした営みがかつてあったことがつづられていた。
読み進めるうちに、土井さん…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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