日本学術会議会員の任命拒否問題や米大統領選などをめぐり、国内外でフェイクニュースが横行している。どんな理由や背景があるのか。どう対応したらいいのか。
立岩陽一郎さん「フェイク流す人も市民社会の中から」
ファクトチェックの普及をめざす団体を3年前に仲間と立ち上げました。影響力がある人の発言や、新聞、テレビなど有力メディアの報道、さらにインターネット上にあふれる言説について、内容が本当に事実なのか中立的な立場から検証する取り組みです。ファクトチェックは、2008年の米大統領選挙の前に本格的に始まり、フロリダ州の地方紙がピュリツァー賞を受賞し注目されました。
候補者の発言の事実検証は画期的でした。日本のメディアでは、まだ「誰が何を言ったか」という発言の紹介のようなニュースが中心です。ファクトチェックに専門的なノウハウは必要ありません。私たちが17年の衆院選やコロナ禍でチェックを実施した際、参加したのは公募などで集まった学生や主婦です。
ただ「ファクトチェックをしても、フェイクニュースはなくならない」と言われることも多いです。フェイクニュースは15秒あれば簡単につくれることもあり、確かに特効薬にはならないかもしれない。しかし、フェイクニュースを流している人は、えたいの知れない化け物でなく、私たち市民社会の中から出ているのです。事実の重要性を意識する人が増えていけば、フェイクが拡散する比率も減ると考えています。
一方で、日本でファクトチェッ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル