1990年代の名作サスペンスゲーム「かまいたちの夜」を模した観光PRを大分県が始める。タイトルは「かまえにたちよる」。宮崎県に接する県南部の漁師町、蒲江(かまえ)(大分県佐伯市)を知ってもらいたいと、ゲーム仕立てで蒲江をオンラインで周遊してもらう。コロナ禍が落ち着いたころに本当に来てもらう作戦だ。
「かまいたちの夜」は1994年に任天堂のスーパーファミコン向けに発売されたゲーム。雪に閉ざされたペンションでの殺人事件を発端に、分岐点ごとに提示されるセリフや行動のどれをプレーヤーが選択するかによって、様々なストーリーが展開していく。小説のような文章に画像とBGM、効果音を組み合わせた「サウンドノベル」という形式で人気を博した。
蒲江は新鮮な魚介類が自慢の町で、ネコの島として知られる深島など離島もある。佐伯市も蒲江を含んだPR動画を動画サイトに投稿しているが、全国各地の動画がひしめくなかで魅力を知ってもらう仕掛けを県が模索している中で、「かまいたちの夜」との語呂合わせにたどり着いた。
観光PRでは、権利者である「スパイク・チュンソフト」(東京都港区)の許諾を得て、ロゴのデザインなどをそっくりに。ゲームのパッケージを模した画像なども公開している。2月20日から、スマートフォンやパソコンを使ってゲーム風動画で観光を疑似体験できるサービスを始める。
企画に携わる県南部振興局の担当者(38)は「自分たち世代にピンポイントで届く企画」と話す。分岐点をいくつか設けたミステリー仕立てで、「30~40代のファミリー層にも県南部の魅力を知ってもらうきっかけになれば」と期待。ネタバレにつながるとして詳細は明らかにしていないが、「年齢制限なく安心して楽しめるようにもしています」。
1月23日にサイト「かまえにたちよる」(https://kamaenitachiyoru.com/)を立ち上げ、予告を始めた。地域の特産品などを購入できる仕組みも検討中という。(寿柳聡)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル