名作絵本「はるにれ」半世紀前の発見秘話 写真家「稲妻走ったよう」

中沢滋人

 豊頃町のシンボルツリー・ハルニレの木が全国的に知られるきっかけとなった写真絵本「はるにれ」の作者・姉崎一馬さん(75)が24日、同町で開かれた「はるにれトーク&ライブ」(町など主催)に出演。この木を1975年に見いだした時のことや、その魅力などを集まった町民や絵本ファンに語った。

 姉崎さんは、当時、高度経済成長で消えゆく自然の保護を訴えようと、森の豊かさの象徴となるような1本の木を探していた。最初に、地平線の中、荘厳に枝を広げている木のイメージを描き、東北や北海道各地を巡って、多くの木の撮影を行ったという。

 そんな中、偶然訪れた豊頃町で、雨上がりの早朝に十勝川の左岸を車を走っていた時のことだ。「遠くにハルニレの木を見つけた時、稲妻が走ったような衝撃を受けた。それまでの木を全く忘れてしまった」。

 姉崎さんが撮りためたハルニレの四季の姿を納めた写真絵本「はるにれ」(福音館書店)は、累計部数21万3千部のロングセラーとなっている。ここまで多くの人を引きつける豊頃のハルニレの木について、「人の寿命を超えた生き物に対する尊敬。一度そこに根付いたら、一生そこで過ごす厳しさ、つらさ、荘厳さが枝ぶりに出ている」と表現。「ハルニレをスタートに、自然、地球環境を考えるきっかけにしてほしい」と述べた。(中沢滋人)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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