名前も知らない赤い自転車の彼女 数秒の「おはよう」が変えた日常

 毎朝5時に目が覚めると、まどろみの中で心が弾む。「赤い自転車の彼女は、きょうも元気かな」。3時間後の「出会い」を思い浮かべると、女性は心なしか布団から出る足取りも軽くなる。

 1928年生まれの95歳。ずっと愛知県豊橋市で暮らしている。戦後間もなく結婚。3人の子どもに恵まれたが、全員家を出た。70年間連れ添った夫は8年前に他界。現在は、2階建ての自宅で一人暮らしだ。

 血圧を測り、ゴミを捨て、パンを食べて牛乳を飲む。午前8時前に家の外に出て、花に水をあげる。晴れの日も雨の日も変わらない朝に、小さな変化が起きたのは約1年前。「彼女」が現れてからだ。

 通学時間になると、家の前を…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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