名古屋の夫婦強殺、差し戻し審で検察が死刑求刑 「罪責極めて重い」

高橋俊成

 名古屋市南区で2017年3月、80代夫婦を殺害して現金入りの財布を奪ったとして強盗殺人罪に問われた無職山田(旧姓・松井)広志被告(48)の差し戻し審の裁判員裁判が13日、名古屋地裁であった。検察側は「罪責は極めて重い」として死刑を求刑した。14日の弁護側の最終弁論で結審し、判決は3月2日に言い渡される予定。

 検察側は論告で、金銭に困窮した被告が強盗目的で被害に遭った夫婦宅に押し入ったと指摘。パチンコなどに興じて借金の返済ができなくなるといった犯行に至る経緯のほか、包丁や小刀で繰り返し被害者2人を攻撃するなどの残虐性を踏まえ、「死刑を科すことがやむを得ない」と主張した。

 弁護側は公判で、被告が昨年、末期がんを患って余命が短いと医師に宣告されたことを明らかにしたが、検察側は「犯行後の事情で、がんだから刑を軽くするという合理的な根拠もない」として、酌むべき事情に当たらないとした。

 この日は殺害された大島克夫さん(当時83)と妻のたみ子さん(当時80)の遺族が被害感情を訴えた。60代の長男は夫婦が8人の孫をかわいがっていたことなどを話し、「何の落ち度もない両親の命を奪った被告を一生憎みます」と訴えた。

 差し戻し前の一審判決は検察の死刑求刑に対して強盗殺人罪の成立を否定し、殺人と窃盗の罪を適用して無期懲役を宣告。だが、二審は「強盗目的を優に推認できる」と判断して審理を差し戻した。(高橋俊成)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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