高橋俊成
名古屋市南区で2017年3月、80代夫婦を殺害して現金入りの財布を奪ったとして、強盗殺人罪に問われた無職山田(旧姓・松井)広志被告(48)=同区=の差し戻し審の裁判員裁判が30日、名古屋地裁で始まった。弁護側は強盗目的を否定し、「成立するのは殺人と窃盗の罪だ」として起訴内容を否認した。
19年の一審判決は「殺害後に金品を盗むことを思い立った可能性を否定できない」として強盗殺人罪の成立は認めず、殺人と窃盗の罪を適用して無期懲役(求刑死刑)を宣告。だが、20年の二審判決は「強盗目的を優に推認できる」としてこれを破棄して審理を差し戻した。最高裁も同年に被告側の上告を退けて、裁判のやり直しが決まった。
検察側は冒頭陳述で、被告が借金を繰り返して困窮していたとして強盗の動機があったと指摘。その上で被害夫婦と面識があり、金品を持っていることも知って強盗目的で犯行に及んだとして強盗殺人罪の成立を主張した。
一方、弁護側は被害者側から「無職で遊んでいる」などと言われて腹を立てたことによる衝動的な犯行だと反論。「(殺害後に)財布が見えて、逃げるなら金が必要と思った」と述べ、事後的に金銭を盗んだと説明した。
起訴状などによると、被告は17年3月1日、名古屋市南区の自宅近くに住む大島克夫さん(当時83)方で克夫さんと妻たみ子さん(当時80)を刃物で刺殺し、少なくとも現金1227円などが入った財布1個を奪ったとされる。(高橋俊成)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル