新型コロナウイルスの感染者が17日に100人に達した名古屋市。感染者の集団(クラスター)を二つ抱え、拡大を食い止めるため、1千人超の濃厚接触者らの健康観察を続けてきた。そのうち、ハワイの帰国者からスポーツクラブへと拡大したクラスターは3月上旬から新たな感染者が出ておらず、県や市は「終息しつつある」との認識を示している。
名古屋市は、各保健センター(保健所)の保健師らが毎日手分けして濃厚接触者らに電話をかけ、体温や呼吸の状況、せき、鼻水、のどの痛みなどの有無を聞き取っている。異常があれば「帰国者・接触者外来」を設置した医療機関と連携し、感染の有無を確認する。聞き取りは、感染者との接触から2週間続ける。
感染が確認された人が出ると、健康観察の対象者は増える。感染者には、症状が出た日の数日前からどこに行き、誰と会ったかなどを確認。それをもとに感染の可能性がある人をさがして自宅待機を要請し、健康観察に入る。感染者が家にいることが多かったか、外出が多かったかなどで、健康観察の対象者の人数は変わる。対象者は勤務先や取引先などにも広がる。
17日時点の名古屋市の感染者は100人(県全体では125人)。市の担当者は「まだ接触者を追えている。追えなくなったり、追うことに意味がなくなったりするほど広がっている状況ではない」と話す。
ただ、感染経路が明らかになっていない感染者も10人ほどいる。まだ感染が確認されていない無症状の感染者がいて、知らぬ間に広げている可能性などが考えられるという。
一方で、感染者らの説明を頼りにするやり方は限界もあるという。「感染者が、すべての立ち寄り先などを言えない事情があるケースもある」と市の担当者。「言ってもらえないことで感染が広がってもいけない。そこに調査の難しさがある」と話す。(木村俊介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル