名古屋発祥の楽器「大正琴」が今年、発売から110年を迎える。海外でも人気を博す「日本発」楽器の代表格だが、高齢化やコロナの影響で国内愛好者の減少が進む。100年超の歴史をひもとくと、スペイン風邪が大正琴の普及に関係したとの考察もあり、「コロナを追い風に変えたい」と奮闘する関係者もいる。
大正琴は、日本古来の「二弦琴」にタイプライターのキーのメカニズムを組み合わせた楽器だ。
西洋音階の「ドレミ」が取り入れられ、左手で音階のボタンを押し、右手に持ったピックで4~5本の弦をはじいて演奏する。
名古屋市出身の発明家・森田吾郎(1874~1952)が開発した。1912(大正元)年に発売されると数年後には第1次ブームが起き、愛好者が爆発的に増えた。
名古屋芸術大学の元教授で大正琴の研究家・金子敦子さん(66)によると、「気軽に誰でも演奏出来る『大衆楽器』として、全国に広まっていった」という。
昭和に入り一時落ち着いたが、戦後に古賀政男がヒット曲「人生劇場」(1959年)で大正琴を演奏したことで再び注目が集まった。平成には第2次ブームとなり、90年代に愛好者が100万人を超えた。
だが、90年代をピークに、現在は約30万人まで減った。多くが高齢者で、コロナにより演奏会の中止や教室の閉鎖も相次ぐ。金子さんは「『大正琴離れ』が加速している」と、危機感をあらわにする。
一方、「コロナを大正琴の復…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル