名古屋駅が一人勝ち 東海の百貨店、周辺都市は撤退続く

 愛知県豊橋市の「ほの国百貨店」が、来年3月15日で閉店すると発表した。再開発が進む名古屋駅地区の影響で業績が悪化し、建物の老朽化もあり展望が描けなかった。閉店後も会社は当面存続し、ビルの建て替えなど跡地の再開発を目指す。正社員40人を含む従業員約150人の雇用は、労働組合と協議していくという。

 豊橋市内で記者会見した林恭吾社長は「営業を続けると(資金繰りなどの)リスクが高まり、周りに影響がでるので判断した」と厳しい表情で語った。

 ほの国百貨店は、前身の豊橋丸栄として1974年に開業。ピーク時の92年2月期には160億円の売上高があったが、19年2月期の売上高は50億円まで減少し、9千万円の債務超過だった。2012年に今の店名で再出発し、地元産の品ぞろえを増やしたり、住民が使えるイベントスペースを設置したりして地元密着に力を入れた。家電量販店「エディオン」を入れるなどしたが客足減少に歯止めをかけられなかった。林社長は「若い人を取り込めず、名古屋駅などに大きい店が集積すると太刀打ちできなかった」と語った。

 豊橋商工会議所の神野吾郎会頭はこの日、「従業員の雇用はもとより、購買力の流出、まちのブランド力低下など、あらゆる面で影響が大きいと憂慮している」とのコメントを出した。

お歳暮商戦「がんばろう」の日に

 閉店の方針が明らかになったのは14日。この日、愛知県蒲郡市からお歳暮を選びに来たという買い物客の女性(81)は「お客が少なくて、前から『(経営は)大丈夫?』と心配していました。私は、名古屋市内まで行くのは大変で、豊橋駅に近いここをときどき利用してきた。豊橋から百貨店がなくなってしまうと困ります」と話していた。

 店ではこの日、お歳暮の売り場…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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