名張毒ブドウ酒弁護団「冤罪の確信揺らがず」 最高裁決定を批判

志村英司

 「最高裁が科学的知見に基づいた検討を十分にすれば確定判決の誤りを判断してくれると考えたが、そのような判断がされていない」。1961年に三重県名張市で女性5人が死亡した名張毒ブドウ酒事件の弁護団は30日、名古屋市内で会見を開き、最高裁の決定を批判した。

 鈴木泉弁護団長は「再審を認めるべきだ」とした宇賀克也判事の反対意見について「多数意見と同じ分量があり、これだけ充実した反対意見を見たことがない」と指摘。弁護団が提出した新証拠についても「実験の結果について丹念に検討を加え、鑑定の信用性を認めている」と評価した。鈴木団長は「奥西勝さんが冤罪(えんざい)であることの確信はいささかも揺らぐことはない」と述べ、今後も再審請求を続ける考えを示した。

 第10次の再審請求は奥西元死刑囚の妹の岡美代子さん(94)が引き継いだ。奥西元死刑囚の特別面会人だった稲生昌三さん(84)によると、最高裁決定の内容を電話で伝えると「どうして裁判所は真実を見てくれないのか」と落胆した様子だった。だが、すぐに「長生きせないかん。兄が無実であることだけが支えです。今後もお力を下さい」と述べたという。(志村英司)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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