三井新、根津弥
記録的な大雨で堤防が決壊した宮城県大崎市の名蓋(なぶた)川で17日、応急工事が始まり、重機で土囊(どのう)を積む作業があった。県のまとめでは同日正午時点で、県内の住宅被害は660棟、重軽傷者は2人。一部で断水も起きている。
県によると、名蓋川沿いの古川矢目地区が氾濫(はんらん)に見舞われるのは2015年以降で3度目。この日午後、決壊場所を視察した村井嘉浩知事は「非常に大きな責任を感じている。抜本的対策を取っていきたい」と話した。
地区内では住民たちが自宅の片付けに追われた。団体職員日野誠慈さん(62)は、床に広がる泥を掃き出しながら「何回拭いてもダメ」とため息まじり。繰り返す水害に「さすがに嫌になってくる。何から手をつければいいのか」。
会社員高橋広幸さん(45)宅では1階の障子に水の跡がくっきり。家族4人で泥のかき出しだ。しばらくは2階で生活するという。妻(44)は「3回目なので、いい加減疲れました。早く普通の生活に戻りたい」と話していた。
県の17日正午時点のまとめでは、登米市や加美町など9市町で、一部破損2棟、床上浸水296棟、床下浸水362棟の住宅被害を確認。ただ、大崎市は調査中で、松島町が概数の報告だったため、実態は明らかになっていない。
また松島町内の高齢女性が16日朝、自宅の整理中に転倒して足を骨折。県内のけが人は重傷1人、軽傷1人となった。岩出山高校(大崎市)は19日に臨時休校する。気仙沼市や加美町など6市町で最大3142戸が断水し、17日午後6時現在でも一部断水が続いている。(三井新、根津弥)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル