名護市長、意見示さない方針 辺野古埋め立ての設計変更

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設計画で海底に軟弱地盤が見つかった問題で、県が審査中の設計変更について、名護市の渡具知武豊(とぐちたけとよ)市長が意見表明しない方針を固めた。8日、朝日新聞の取材に明らかにした。渡具知氏は、移設計画を進める自公政権の支援を受けて3年前の市長選に初当選して以降、移設への賛否を示しておらず、異例の事態が続いている。

 軟弱地盤をめぐっては政府が昨年4月、地盤改良工事のための設計変更を県に申請。県は承認か不承認の判断に向け、公有水面埋立法に基づき、県民や名護市長の意見を聴く手続きを進めている。市長意見は議会の議決が必要と定められている。2013年の国の埋め立て申請に対しては、当時の稲嶺進市長が議会の議決を経て「断固反対」とする意見書を県に提出した。

 今回、県は名護市に対し、軟弱地盤発覚に伴い生じた一部埋め立ての取りやめについて、3月26日を期限として意見を求めた。渡具知氏は昨年12月議会で、これについて「異議なし」とする意見書を提案した。一方、軟弱地盤の改良工事を含む設計概要変更については「(意見をいう)義務はない」(総務部長)と答弁した。

 これに対し市議会の多数野党は「(埋め立て取りやめという)事務的なことではなく、移設計画を認めるのか否か、市長の判断が求められている」「責任放棄だ」などと指摘。意見書案も否決した。

 渡具知氏は、3月議会の追加議案の提出期限を前に市幹部らと協議し、再び提案しても否決される可能性が高いと判断。「市議会を経た市長意見が存在しない」とする趣旨の回答書類を8日、県に送付した。

 朝日新聞の取材に対し、渡具知氏は県からの意見聴取について「(私の)考えは変わらない。再度提案はしない」と語った。辺野古移設については「無責任という意見もあるかもしれないが、国と県が係争中で行方を見守っていくという立場だ」と賛否には触れず、これまで通りの考えを強調した。

 当選以来、移設への賛否を明言していない渡具知市政に対し、政府は移設への協力を前提に支払う「米軍再編交付金」を支給し、市は保育料の無料化などにあてている。(国吉美香)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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