卒業式や入学式で君が代を起立斉唱しなかったことを理由に懲戒処分を受けた東京都立学校の教諭ら15人が31日、都に処分取り消しを求める訴えを東京地裁に起こした。うち12人は、当初受けた減給処分を違法とする判決が確定して処分を取り消された後、より軽い戒告で再処分された。再処分をめぐる提訴は初めて。
都教育委員会は2003年に式典での国旗掲揚と国歌斉唱を義務づける通達を出し、通達に沿った処分と処分取り消しを求める訴訟が相次いだ。最高裁は12年、戒告は原則許容するが減給・停職には慎重な判断を求める判決を出した。
今回の訴訟の弁護団によると、都教委は13~20年、違法判決が確定して減給処分を取り消した12人に対し、減給の対象にしたのと同じ不起立の事実で戒告処分を出し直した。弁護団は「時間が経ち処分の必要性はなくなっている。賞与への影響など、戒告に伴う弊害も昔と今では違う。再処分は違法」と訴えている。
提訴後には原告らが会見した。特別支援学校の田中聡史教諭(52)は昨年暮れに校長室に呼ばれ、8年前の不起立について再処分を受けた。コロナ対策で教室を毎日消毒し、神経が張り詰めた2学期を終えた直後だった。「なぜこのタイミングで」と力が抜けた。「減給の取り消しについて謝罪もない。都教委のやり方には腹立たしさを通り越してあきれる」と話した。
都教委は「訴状が届いてから今後の対応を検討する」とコメントした。(阿部峻介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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