松本英仁
87年前の1934(昭和9)年正月に、東京朝日新聞高田専売所(当時)が読者に付録として配ったとみられる絵双六(すごろく)「高田市商賣(しょうばい)繁栄雙六(すごろく)」が、新潟県上越市内の民家から見つかった。カラー印刷の模造紙大で、旧高田市中心部(現・上越市本町)に実在した商店名が記されている。現在の高田本町商店街は8、9両日に開くイベント「百年老舗まつり」で複製品を公開、双六遊び体験の企画もある。
双六は、36のコマの中に呉服店や飲食店、履物店、書店などの店名や住所、電話番号などが書かれ、広告を兼ねた遊具だったようだ。和装や洋装の女性、「カフェー」などの記載もあり、当時のファッションや風俗などもうかがい知れる内容だ。欄外に「東京朝日新聞高田専賣所」や「昭和九年元旦特別附録(ふろく)」の文字が見える。
イベント主催者「高田本町百年商店街プロジェクト」の宮越紀祢子さん(76)によると、現在も営業中か流れをくむとみられる店は4軒ある。双六の実物は金庫に保管されていたそうで、わずかに折り畳んだ跡が分かる程度。保存状態は極めて良好だ。秋田県には同じ図柄で異なる店名が入った双六が残っており、各地で作られたようだ。
長さ600メートルほどの高田本町商店街は、100年以上の歴史がある商店が40店を数える。宮越さんは「載っている店は、地元でも覚えている人が少ないなど、必ずしも大店や有名店ばかりではないだけに当時の商店街の底力と地域のよさを改めて感じる」と話す。会場に「情報ボックス」を置いて、双六にある店について情報収集も行う考えだ。
拡大した複製品を使う双六遊び体験と展示は8日午前11時~午後4時、9日午前11時から午後3時、いずれも上越市本町4丁目のイレブンビル広場で。(松本英仁)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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