永田豊隆
京料理の伝統を持つだけに、何となくイメージに合わない。しかし、京都人がパンをよく食べているのは本当だ。
総務省の家計調査で都道府県庁所在地・指定市ごとのパン購入額(2人以上世帯)をみると、2019~21年の年平均で京都市は2位(3万7821円)で、1位の神戸(3万8411円)に次ぐ。過去10年間でも1位3回、2位5回で常に上位にいる。
なぜパンが好まれるようになったのか。京都パン協同組合理事長の山本隆英さん(76)は「学生の街」「職人の街」「新しもの好き」の三つをあげる。
学生・職人とパンの関係は、いまも今出川通り沿いがパン屋の激戦区といわれることと関係する。同志社大をはじめ大学が近くに集まり、西陣織の織屋も軒を連ねた。懐がさびしい学生にとっては比較的安価におなかを満たすことができる。織物づくりの手を休ませることができない西陣織の職人にとっても、片手で食べられるので便利だったという。
新しもの好きは京都人の特性で、日本にパンが入ったときも抵抗が少なかったとみる。「京料理だって少しずつ海外の料理を取り入れながら、工夫を重ねてきました。良いものは受け入れる合理主義です」と山本さん。京セラや堀場製作所など京都発で世界規模に成長する企業が多いことにもつながるという。(永田豊隆)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル