唯一のハンセン病患者の刑務所、解体進む 跡地は学校に

 国内でただ一つのハンセン病患者専用の刑務所だった「旧菊池医療刑務支所」(熊本県合志市)の解体工事が進められている。隣にある国立療養所「菊池恵楓園(けいふうえん)」の入所者らが保存を求めたが、建物の老朽化などでかなわなかった。工事は7月中に終わる見通し。

 刑務支所は、熊本刑務所の支所として1953年に造られた。97年に閉鎖されるまでに、延べ117人が収監されたという。86年に鉄筋コンクリート造りの2階建てに建て替えられたが、旧庁舎では、ハンセン病患者を隔離した場所で裁く「特別法廷」が開かれた。患者とされた男性が無実を訴えながら殺人罪で死刑になった「菊池事件」の裁判も行われた。

 菊池恵楓園の入所者や支援者らが中心となって2010年、保存を求めて10万人の署名を集めたが、老朽化や周辺で学校の建設計画が進んでいたことなどから取り壊しが決定。独居房の扉や鉄格子は、菊池恵楓園内にある歴史資料館で保存することになった。

 跡地には市立の小学校と中学校が建設され、校名はいずれも「合志楓(かえで)の森」となる予定だ。校名を公募し、菊池恵楓園の「楓」の文字があることなどから選ばれた。正門には、刑務支所の歴史を記した石碑が建立されるという。(渡辺七海)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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