日本近海で31年ぶりとなる商業捕鯨の再開が7月1日に迫る。かつて商業捕鯨の基地として栄えたクジラの街・山口県下関市では期待と不安が交錯する。下関市職員として鯨食文化に精通し、現在は市立大付属地域共創センター委嘱研究員として調査・研究に携わる岸本充弘さん(53)に、商業捕鯨の将来や課題について聞いた。
来月、日本近海31年ぶり
――商業捕鯨再開で、水産都市・下関は「クジラの街」としてまた活性化しますか。
チャンスととらえて、産官学連携で下関の地域浮揚、産業振興につなげるべきだ。沿岸の漁業は高齢化し、維持するのが厳しい状態。経済が縮小していくなかで、新たな産業を興すのはなかなか難しい。水産庁は再開後の捕鯨の姿として、下関を沖合操業(母船式捕鯨)の基地と想定してくれたわけだから、このチャンスを生かすしかない。下関には産業の集積と鯨食文化、生かせる資源があるのにもったいない。
――どれくらいクジラが捕獲できるのかという問題もあります。
沖合操業で捕獲できるのはミンククジラ、ニタリクジラ、イワシクジラの3種。鯨種ごとの捕獲枠がまだ公表されていないので、下関にもたらす効果は現時点では何とも言えない。調査捕鯨のデータがない海域もある。軌道に乗るまでは何年かデータを蓄積していくことになるだろう。
流通コストなどを考えると、陸揚げは下関に全量ではなく、北海道なのか東北なのか分からないが、東日本でも揚げることが予想される。2、3カ月漁に出て、操業海域ごとに近い場所で陸揚げする計画になるのでは。
――肉質が良いとされる南極海…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル